インド紀行(9)
 

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Chand Baoli Step Well               in Abhaneri Villege

 アーグラから西に約150km車で4時間、ジャイプルから東に95kmに位置するラジャスタン州の小さな村Abhaneriにあるインド最大級の階段井戸である。

 Abhaneriは、元々はAbha−明るく輝く、Negri−都市という名前であったが、信仰の衰退とともに発音が変化して現在名となった。

この井戸は9世紀にこの地を治めていた王ラジャ・チャンドによって掘られ、深さ100フィート(約31m)、13階、3500段の階段状露天井戸である。

 Chand Baoli とは チャンド王の井戸と云う意味である。

 アーグラとジャイプルを結ぶ国道11号とBandikuiに通じる州道25号を北東に11km入った辺鄙なところに存在する遺跡である。現在でも最深部には水が湧いている。

 建物には、沐浴するための王の間や王妃のバスルームが正面にあり、その前には踊り子の舞殿がある。井戸の神に感謝の舞を奉納していたのであろう。

 隣には七世紀に建てられたHarshat Mata templeがある。王たちがこの神殿に参詣する前に体を浄めたところであると言い伝えられている。

 Harshat Mata神は、喜びと幸福の女神と考えられている。彼女は、村人をはじめ信仰する人々に常に喜びや幸せを与える陽気の神として篤く信仰された。

 幾何学文様に建築された構造は、女神と大地の恵み−生命の水に感謝する聖空間として神殿と一体化し、多くの民が同時に取水や沐浴するための実用性と儀礼形式の意匠性が習合した、当時の文化の高さを示す偉大な劇場型構築物である。

 最上段の回廊には現在、七世紀から10世紀頃の精巧なヒンドゥー教の神々の彫刻が展示されている。